告白
‐ガシャーン!
派手な音を立ててコーヒーカップが床にぶつかり砕け散った
「・・時任?」
砕けた破片の側で、時任はうずくまるように右手を押えていた
「・・・くっ・・な、何でもねぇ・」
時任の獣化した右手はたびたび鋭い痛みを伴い時任を苦しめていた
俯いてはいたがその表情は苦しみに歪んでいるようだった
いつもは痛みが始まると同時に別の部屋へ立てこもり、一人で耐えているのだが
今日はその余裕さえないようだった
・・・強いね、お前は
暑いだのなんだのすぐ文句を言う割には
痛みを訴える言葉が、時任の口から漏れたことはない
そうやって一人で痛みも苦しみも抱え込み、一人で乗り越えようとする
けれど・・・
今は俺がいるってコト忘れないで欲しい
久保田は膝をつく時任の背中を、後ろから・・抱きしめた
時任は一瞬ピクリと反応したが何も言わず動かなかった
久保田は時任の痛みも苦しみも全て受け止めるかのように優しく強く抱きしめ包み込んだ
辺りは静寂を増し、二人の鼓動と呼吸だけが静かに響く
時任はその温もりと鼓動の中で、少しずつ痛みが薄れていくのを感じた
やがて完全に痛みが止まってからもしばらくは久保田の腕の中にいた
どれくらい時間が経ったのだろう
ふと、振り返るとそこにはいつものように穏やかに優しく微笑む久保田がいた
「くぼちゃん・・・」
「うん?」
「・・さんきゅ・・な」
「・・うん」
ふにゃと顔をくずして優しく笑いかえす時任がとても愛しく、言葉が溢れた
「・・・時任」
優しい瞳で想いを告げる
「好きだよ・・・」
時任は驚きに目を大きくし、久保田を見つめた
「・・・・」
戸惑ってるなぁ・・・
「そんなに見つめられちゃ、穴が開いちゃいそうだね」
どんな時でも変わらない真っ直ぐな瞳を受けて、久保田は眩しそうに目を細める
それを聞いた時任は少し照れたように目を逸らす
「・・俺だって久保ちゃんが好きだ」
・・・うん、きっとそう言うだろうと思ったケド
俺とお前の好きの意味はちょっと違うんだよね
分かっちゃいるけど・・・と少し微笑んだ
「うん、俺は猫好きだからかなぁ、お前が猫科でよかったよ」
今度は少しおちゃらけて言うとセッタをくわえ、火をつけようとした
と突然ー前から伸びてきた、しなやかな手に阻まれる
時任は久保田の左手首を掴むと真っ直ぐな真剣な瞳を向けた
「ちゃんと聞けよ!俺は・・俺は普通の好きっていう以上に大好きなんだよっ」
驚いて目を開くと、時任は顔を赤くして睨みつけていた
「・・・それって、愛してるってコト?」
そう言うとさらに時任の顔が赤く染まった
その反応に久保田の鼓動が少し速くなる
ほんとうに?
「そうならちゃんと言って?」
「!・・っそ、そんなこと言えるかよっ」
恥ずかしそうに俯く時任はいつにも増して可愛く見える
・・まずいなぁ、せっかく今まで我慢してたんだけど・・
「・・もうムリかも」
「え?」
ふと降ってきた言葉に時任は顔を上げると、突然温かい物が唇に触れた
「!」
久保田の唇に塞がれているそれは、驚きで少し震えていた
時任の腰は強引に引き寄せられ、激しく口付けられる
軽く開いた口内に侵入し歯列を割り、さらに奥へと荒々しく貪ると時任はたまらず息をもらす
「っは・・あっ・・」
・・やばいなぁ、そんな声出しちゃって
次第にたどたどしくではあるが時任の舌が久保田に応えはじめると、久保田は優しく教えるようにキスを繰り返す
どれくらいか長い間塞いでたそれをゆっくりと離すと、時任はぼーっとしたように久保田を見つめた
頬は赤く染まり、涙が浮かぶ瞳で久保田を見上げる
誘ってる顔しちゃって・・・
「・・くぼちゃ・・」
「時任・・愛してるよ」
「・・・・うん、俺も・・」
「・・そんな嬉しいこと言われるとお前の事今すぐにでも抱きたくなるよ」
「!っなっなっ何言って・・・っ」
真っ赤になって慌てふためいている時任は本当に可愛い
「でも今は・・これで我慢しておくね」
久保田は時任を優しく抱き寄せ包み込んだ
「今はお前を抱きしめていたい」
「くぼちゃん・・」
時任も久保田の背に腕を回し、ぎゅっと抱きしめあった
今は・・ね
これからゆっくり愛し合っていこう
やっとやっと手に入れた俺の全て
覚悟しておいてね、もう手放せないよ
たとえお前が俺を忘れてしまっても、離れてなどやらない
依存、執着・・どの言葉も当てはまらない
お前が俺の全てだってこと−
『久保ちゃんのカミサマって何なんだよ?』
いつかお前が聞いてきたっけ
あの時はごまかしたけど・・
俺の中にいる絶対的な存在ー
それが神様だというのなら
そうなのかもしれない
たとえお前が猛獣でも、悪魔だったとしても、ね
二人はどうやってくっつくのか考えても分かりませんでした。
二人の初めてのキスってかなり萌えます^^
くっつくまでの経緯をいっぱい書きたいです〜
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