望み

 


今日コンビニで会った女の子を泊めることになり、俺と時任は一つのベッドで所狭しと寝ることになった
まぁ冬は寒いからって理由で一緒に寝ることは多いんだけど・・・
俺は時任の隣でなかなか寝付けないでいる
突然、スースーと寝息をたてていた時任が唸るような声を上げた
「うぅ・・・」
「・・時任・・?」
「・・やめ・・ろ、来・・るなっ」
・・悪い夢を見てるんだろう、時任が苦しそうに顔を歪ませている
右手の痛みに耐えるときよりも苦しそうで
ひどく怯えたような顔・・
こんな時任を見るのは実ははじめてではない
何度か夢にうなされる姿を見てきた
けれど、俺はそんな時任を起こした事は一度もなかった
「くっ・・いや・だ」
・・・
起こしたい
すぐに起こして、大丈夫だよと安心させたい
だけど、苦しむ時任を見ながら
自分から目覚めてくれるのを待っている俺がいる
過去の苦しみから抜け出て
俺を選んでくれることを望むかのように
「うぁ・・・うぅ」
ねぇ、時任ー
俺の知らない悪夢のことなんて忘れて
俺の名前を呼んでよ
いつものキレイな瞳で俺を見て
早く、目を開けてよ、時任
そっと右手に手を伸ばし指を絡める
すると、ぎゅっと俺の手を握り返してきた
「・・時任・・?」
「ん・・くぼ・・ちゃん・・」
「くぼちゃ・・・ん」
時任は俺の名を何度も呼んでいる
その顔はさっきとはうって変わって穏やかな表情だった
今度は俺の夢を見てるの?
まだ目を開く気配はないけれど、悪夢から開放されたようで安心した
その時
何度となく自分の名を呼ばれながら
時任がふんわりと微笑んだ
「・・くぼちゃん」
「!」
その瞬間・・息が止まるかのようだった
その笑顔があまりにも綺麗で、愛しくて
胸が、熱くて、、、心が・・震えた
自分の気持ちにとっくに気づいているはずなのに
目の前の存在に、俺は、何もかも飲み込まれたようだった
「時任・・・」
俺は堪らず・・手を繋いだまま、抱きしめた
それでも起こさないように優しくー
しばらくそうしていると、スースーと安らかな寝息が聞こえてきた
お前が安心できるならいつでもこうしてるのに・・
本当は一緒に寝るとき、理性を駆使して平静を保ってるんだけど・・
それでもお前が笑顔でいてくれるなら
いつでもこうしてあげるのになぁ
ねぇ時任ー
俺はお前の正体なんてどうでもいいんだ
お前の過去なんて俺には関係ない
ただ今のまま
ずっと俺の側にいてほしいだけ
たとえそれがお前の望みじゃあなくても
側にいてほしいんだよ
だから・・・
「・・ゴメンね」
そっと時任を腕の中に包み込み抱きしめる
明日起きたら放せって怒られるかな?
俺はそんなことを考えながら
世界でたった一つ、腕の中の幸せな温もりに
目を閉じた

 


シチュエーションはWA2巻です。

二人であのベッドで寝たことは間違いない・・ですよね??

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