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 はじまりの合図【番外編】―――時任Side

 





もう、終始何がなんだか分からない。

久保ちゃんのマンションに住むようになって、学校に行くときとか日常的にキスとかされてたけど、今日はいつもより数倍激しい衝撃だった。
心なしか久保ちゃんの目が血走ってて怖ぇし、無理矢理組み敷いてくるから頭に来て、つい腹くくったなんて言っちまった。

 

俺はこの一週間、ずっと考えてた。
ゲームしてても、一人でソファに横になってても、久保ちゃんのことばっか考えてた。

一 緒に暮らすとき、久保ちゃんは「同棲だからキス以上のコトも込みでよろしくね?」なんて冗談っぽく言っていたけれど、俺たちはただの友達じゃないんだか ら、やっぱりそういうこともあるのかもって真剣に考えて。それでも俺も久保ちゃんの日常に入ってみたいって望んだから、こうして一緒に住むことになって。

いつもと変わらない久保ちゃんと過ごしながら、だけど夜はちょっとだけお互い意識していた。だからやっぱり久保ちゃんと同じベッドで寝るってことは冗談じゃなくそういうことだよなとか、男同士ってどんなことをやるんだろうとか、考えると悶々として眠れなかったりした。
怖いってのもある。久保ちゃんのキスを思い浮かべて自慰をしたことはあるけど、誰かとそんなことをするなんて俺には考えられなかったから。
でも俺が受け入れなきゃ久保ちゃんはコレ以上俺のモノにはならない。
久保ちゃんとそういうことしたいかと聞かれるとよく分からないけれど、もっと近づける手段があるなら俺は飛びつきたかったんだ。

 
そんで分かったこともある。
ずっと久保ちゃんのモノが俺に当たってて、それがありえねぇぐらい膨らんでるのは、俺のせいなんだってこととか。
無意識に避けてきたことで、こんなにも久保ちゃんを追いつめてしまっていたこととか。
だから本気だっていう久保ちゃんの熱っぽい目見ちまってから、唐突に覚悟を決めたんだ。

俺も男だ。久保ちゃんを知りたい。久保ちゃんは俺のモノだって、そう望んでしまった以上、俺は久保ちゃんのすべてを受け入れたいって。

――――だからこんなことになってるんだけど。でも、マジでこんな恥ずかしいこととは思わなかった。

飼い主のヨシという声を待っていた犬のように、久保ちゃんは行動を起こした。
いきなりくわえられるし、イキそうになったら意地悪されるし、その上あ、あんなところまで・・。
ぬるぬるの液体をすり付けられて、体の中を久保ちゃんの舌やら指が行き来する。しかも明るい室内で、後ろをすべて見られながらなんて、どんな罰ゲームだ。

初めて体内に人の指を感じて、正直気持ちが悪かったけれど、何度も何度も俺の反応を確認するように中をイジられて、だんだんと変な気分になってしまう。
その証拠に捕まれた俺の性器は萎えることなくシーツに先走りを垂れ流していた。

 

一体何がどうなっているのか確認したくて、少し待ってほしいと思っているのに、どんどん上がる体温にいつしかこの熱を解放することばかり求めている自分がいた。
イキたい。イキたいのにイケない。痛いくらいせき止められて、なのに後ろばかりしつこく愛撫してくる意地悪な指が恨めしい。中で指を広げながら性器の裏側を擦られて、睾丸がパンパンに腫れ上がっていく。

「んっ、あ・・っっ!?」

そのとき唐突に覚えのある感覚がこみ上げ、驚きに目を見開いた。
せき止められ、後ろを指で突かれているだけだというのに、信じられないことにイキそうになっていた。

「や、・・俺、出るっ、出ちゃ・・、久保ちゃん・・っ」

初めてのことに怖くなってイヤだと何度もかぶりを振る。

「・・もう、あんま煽んないでくれる?」
「え、な、なに言っ、―――あ・・っ?」

あと少しでイッてしまうというところで、ずるりと指を引き抜かれた。
訳の分からない熱の上昇にホッとするやら残念なような、肩で息をして足を震わせていると、今度はまたぐるりと簡単に仰向けにされる。
蛍光灯の明かりが眩しくて目を細めているうちに足を腰ごと持ち上げられて、慌てて久保ちゃんの骨ばった腕を掴んだ。

「く、久保ちゃん・・!」

今更だけど、明るい室内でこんな格好、尻の後ろまで全部が久保ちゃんの目にさらけ出されているかと思うと羞恥にいたたまれなくなる。
文句を言おうとしたところで尻に堅いものが押し当てられて、ぎょっと目を見開いた。

「・・えっ・・、なっ・・!?」

思わず下肢を見れば自分の勃起したものが丸見えだ、という羞恥よりも、脚の間に割り込もうとしているそれを直視して「ひっ」と息をのむ。
久保ちゃんのだ。
初めて見る人のソレ。堅そうにそそり立つそれはずっしりとしていて、まさしく大人の男のモノ。

「時任・・」

驚きのあまり絶句する俺を、久保ちゃんが熱のこもった目で見つめてくる。
このままだとなんだかとんでもないことになりそうで、俺は慌てて首を振った。

「や、む、むむむ無理・・っ、む・・っ」
「・・ゆっくりするから・・」
「あ・・っ!」

掠れた声が落ちてきたと同時に、ぬめりをまとった熱いモノが、ぐぐっとめり込んくる。その熱が久保ちゃんのソレだということを、改めて意識して頭が真っ白になった。

「ひ、・・う、あっ・・!」

なんで、なんで。そんなとこにあんなの、―――マジで入れる気なのかっ。
つまり、男同士も、女とするときのようにそうするのが、セックスというやつで。俺と久保ちゃんも、最終的にそこまでするってことで。
――えっ、てでもその場合どっちが女役をするんだと疑問が沸いた瞬間に―――だから俺がそっちの役なのかと愕然としたり。
そうこうしているうちに、ぐぐっと熱の塊が押し進んでくる。

「やっ・・、っい、痛・・っ、う、ぅ・・っ」
「ごめん、・・痛いよね」

分かってるなら抜いてくれと叫ぶ余裕もない。
ものすごい質量が食い込んできて、そこは裂けるような痛みに悲鳴をあげている。でも多分、まだ先端だ。
無理無理。コレ以上は絶対無理だって――!
思わず潤んだ目で元凶の男を見上げる。

「は・・、キツ・・」
「・・っ!」

はあ、と間近にのぞき込んできた久保ちゃんが熱い吐息を漏らして、どきりとした。
いつも崩れないポーカーフェイスが、わずかに眉を寄せて、心なしか顔も血の気を増している。

苦しいんだ。久保ちゃんも、苦しいんだ。
俺の中で、感じてそんで、痛いのとか気持ちイイのとか、きっとごちゃ混ぜになってる。

気持ちよくなってほしい、と思った。
久保ちゃんがもっと気持ちよくなれるなら、俺はもう少しぐらいなら我慢してやってもいいかもしれない。
久保ちゃんの感じてる顔、もっと見てみたい。

ふ、と息を吐いて久保ちゃんの首に腕を巻き付けると、久保ちゃんはわずかに目を見開いた後、嬉しそうに微笑んだ。
どこか無邪気にも思えるその笑顔に弱いんだって、と顔を熱くしながら、降ってきたキスを受け入れる。
体温のあがった舌にねっとりと吸われると気持ちよくて、痛みが少しやわらいだ気がした。

「んっ・・、ん、あっ、・・んっ」

少し引いては押すようにぐっぐっと進められて、不意に、痛いだけじゃない感覚を覚えた。
中の内側。性器の裏側あたりに擦られると下腹部が熱くなる場所がある。多分さっき指で弄られてイキそうになったところだ。
それを確かめるように意識を集中させていたせいかもしれない。体の余分な力が抜けて、その瞬間を見計らったように腰を進められたときには、一息に奥まで貫かれた。

「ひ、ああ――・っ!」

熱い、堅いものが自分さえ知らない奥深くに突き刺さってくる。
こんな感覚は知らない。
こんなの知らなかった。そりゃそうだ。普通なら到底感じることのなかった感覚。そしてこうなることを望んだのは、きっと久保ちゃんだけじゃなかった。

「あ、あ・・」

体の中も外も熱くて、は、はっ、と荒い息が出る。
あまりのことにもう俺の頭は何も考えられない。

―――ただ、久保ちゃんのことだけだった。
頭の中も体の中も、俺の中には今、間違いなく久保ちゃんだけがいる。

 「・・入っちゃた、ね、時任・・」
「あ、うっ・・っ」

久保ちゃんが掠れた声で囁いて、覆い被さるようにぎゅっと強く抱きしめてくる。奥を開かれているモノの角度が変わり、呻き声が漏れた。

「苦しっ・・」

変な体勢で苦しいし熱いし、なによりいっぱいに広げられた場所がジンジンと痺れてる。
久保ちゃんの腰が尻にあたった感覚で、本当にあんなデカイものが全部入ってしまったのだと改めて思い知らされた。

「お前ん中、すごい熱い・・」
「う、っ・・」
「・・平気?」
「・っ、へ、平気だっつーのっ・・、ぅあ・・っ!」

大見得切って応えるや否やゆるりと揺さぶられた。引き攣られる痛みよりも、粘膜を擦られる感覚に背筋がぞわりと震えた。

「あぁ・・っ、ひ、待・・っ」

なんだこれ。なんだこれ。
とんでもない未知の扉を開いた予感がして、恐怖と期待に動悸が激しくなる。

「は、あ・・、キモチイイ・・、ごめん時任、動くね」
「っ、あ・・っ」

そんな予告をして、ずるりと熱が引き抜かれる。体中の毛穴がぞわりと収縮するような感覚の後に、堅いものが再び押し入ってくる。
ゆっくりと繰り返されるそれは徐々に間隔を減らし、がくがくと揺さぶられた。

「あぁ・・っ、あ・・っ、ん、あ・・っ、やぁ・・っ」

自分のものとは思えないあられもない声が勝手に口から飛び出していく。恥ずかしくて止めたいと思うのに、奥をずくずくと突かれると、さらに高い声が漏れてしまう。

やばい、と思った。痛いと思ったのは初めだけで、中を擦られる感覚は思いがけない熱を生み出していた。
覚え立ての感じる場所を確認するように何度も久保ちゃんのモノが行き来して、ごりごりと擦っては奥まで埋められていくから堪らない。

「ひぁ・・っ、ふ、深・・っ、んあ・・っ」

怖いくらい奥まで突き上げられて、思わず逃げたくなった。けれどのけぞった体を引き寄せるように腰を抱え上げられ、さらに久保ちゃんが深い場所へねじ込んでくる。
ごめんとかさんざん謝っといて、久保ちゃんは容赦がない。

「あ・・っ、あ・・っ、ん・・っ」

何度も揺さぶられ、気づけば痛みはもうほとんどなかった。
擦れる場所が熱くて苦しくて、そして信じられないほどに気持ちがよくなっている。

「・・可愛い、声」
「ば・・っ、言うな・・っ、ひゃ・・っ」

大きなスライドで抜き差しされて、ぐちゃぐちゃと耳を塞ぎたくなるような水音が響く。けれど耳を塞ぐ余裕なんてもう少しもない。
脚を抱え上げられて深く繋がる形で、両手は必死にシーツの上をもがいていた。

視界には逞しい久保ちゃんの胸板と腹筋。その前に反り返った自分のモノが滴を垂らして切なげに揺れている。
それに気づいてくれたのか、久保ちゃんの大きな掌が自身に絡みついてきて、刺激を待ちわびていたソレは一気に熱を上げた。

「ん、ああっ・・!」
「っ・・」

ぎゅっと腹部に力が入り締め付けてしまったらしく、久保ちゃんの眉根が寄った。潤んだ視界に汗を滴らせる男臭い顔が見えて、また少し表情を崩せたことに胸が熱くなる。

もっと見てぇな・・。

これは多分、俺だけが知ってる久保ちゃんの顔だ。
相方だけじゃ、一緒にいるだけじゃ到底知ることもなかった。久保ちゃんの新たな表情。

こうして二人で訳分かんなくなって、これ以上ないほどに近づいて一つになれて。そして二人で向かう先には途方もない快楽がある。
それってこんなに最高なことなんだ。

「スゴ・・、ね、中、うねうねしてる。・・感じてるの?」
「っ、し、知らな・・っ、あ・・っ」

いやらしいコトを囁いてくる久保ちゃんの熱い吐息がエロい。ぐちゅぐちゅと濡れた音と、下肢がぶつかる音が絶え間なく響いて、それにも煽られていく。

「は、あ、・・もうイキそ・・」
「く、ぼちゃんっ、久保ちゃん・・っ、あ・・っ、あ・・っ」

戯れのように反り返った俺の雄を撫でていた手が速さを増し、熱い棒がめちゃくちゃに奥を突いてきた。
堪えることなんか出来なくて、怖くなるほどの気持ちよさに目の前は真っ白になる。

「も、イく・・っ、や、あ・・っ、あ――・・っ」

俺は激しく体を揺さぶられながら、気づけば絶頂を迎えていた。
瞬間意識が遠のいていて、それでも止まらない久保ちゃんの動きにつられて、射精感がいつまでも収まらない。

「ひ、・や、あ――・・っ、久保ちゃ・・っ、も、や、やめ・・っ」

自分のモノが久保ちゃんの掌に包まれて、びゅくびゅくと白濁を吐き出しているのが見える。
その手も自分の腹も、受け止めきれなかった体液がいたるところに飛び散っていた。

なんつー、いやらしい光景だ。
っつーか、もう無理だって・・っ!

途方もない快楽に朦朧とする意識の中、汗を垂らして俺を揺さぶる男を見上げた。
これまでに見たこともないような久保ちゃんが、熱に浮かされたような視線で俺を見つめてくる。

久保ちゃんも、そんな目するんだなぁ。
そんな風に関心したのもそこまでで、激しい動きに意識が無理矢理引っ張られて覚醒した。

「ひ・・っ、う、あ――・・っ、く、ぼちゃん・・っ、もう、や、やだ・・っ」

感じすぎて辛い。もう出るものもないのに、中の敏感なところを散々擦られて、内部がひくひくと震えるように痙攣し始めている。
前はもうイキっぱなしで、際限のない快感に頭がおかしくなりそうだ。

「や、・・ああ――・・っ」
「うわ、スゴ・・っ」

息を止めた瞬間思いっきり締め付けてしまったらしい。堪えるような久保ちゃんの低いうめき声が聞こえて、じわりと体の奥に熱いものが広がっていく。
繋がっている場所がどちらのせいか分からないけれどびくびくと震えている。敏感になった体はそれにすら感じて、俺は何度もその余韻に打ち震えていた。

「は――っ、はぁ・・っ、はっ・・、はぁ・・」

ようやく訪れた静寂の中、自分の吐く息がうるさかった。まるで全力疾走した後のようだ。
どさりと久保ちゃんの重みが重なってきて、う、と息が詰まる。
ぴったりと合わさった二つの心臓がどくどくと響いていた。

「は・・っ、・・・く、久保ちゃん・・、おも・・」
「んー・・」

首筋に埋まった久保ちゃんも息を荒げていて、こいつがこんな風に息切れしているのも初めてだなと思った。
汗ばんだ肌はまだ敏感で、耳元でダイレクトに響く熱い吐息にぞくりとする。

「重いって、ば・・・」
「・・ん、もうちょっと、このまま・・」

久保ちゃんは文句を言っても退く気配もなくひっついてきて、時折耳とか首筋とか匂いを嗅ぐみたいにクンクンしてくるからくすぐったくてたまらない。
やっぱこいつ犬みてぇだなぁと俺もようやく落ち着いてきた頭でそんなことを考えていたら、久保ちゃんがゆっくりと体を起こした。

「う、あ、ん・・っ」

ずるり、と入れっぱなしだったものを引き抜かれて、思わず変な声が漏れる。慌てて自分の口を塞ぐけど時すでに遅し。
久保ちゃんの口端がいやらしく引き上げられて、かーっと顔に熱が集まった。

「あのーそんな声出されたら、また勃ちそうなんですけど。もしかして誘ってる?」
「ばっ・・!ち、違うっ、今のはお前がいきなり、ぬ、抜くからっ」
「へえ、まだ抜いて欲しくなかったんだ?」

さっきまで必死こいて俺を揺さぶってたくせに、久保ちゃんはもうすっかりいつもの顔だ。それが癪で、なんだか頭にくる。

「んなわけねーだろっ。これ以上は無理だっ!だ、だいたい!ゆっくりって言ったのに、いきなりがっついてきやがって。こっちはもう指一本動かすのも億劫だってのっ」
「うん、それはごめんね。俺も余裕なかったし。・・でも気持ちよかったっしょ?」
「うっ・・、そ、そりゃあ、まぁ」

はっきり言って気持ちよかった。自慰なんか目じゃないくらい、すごく気持ちよかったから、そう言われてしまうとなにも言えない。

「俺はすごく良かった。っていうか、お前の中、このまま死んでもいーくらいキモチよかったけど?」
「ば・・っ、バカ・・!恥ずかしいことサラッと言ってんなっ」

垂れてる目尻をさらに下げてそんなことを言ってくるから、照れくさくてしょうがない。まったくこいつには羞恥という言葉はないのか。
怒ったようにわざとそっぽ向くと、久保ちゃんが「ごめんごめん」と隣に寝そべって抱きついてきた。
やたらとべたべたしてくる久保ちゃんとの距離が、いつもより一気に狭まった気がして、それがなんだか嬉しくてそして酷く恥ずかしい。

「もうっ、俺は暑いのっ、風呂入るっ」

このまま寝てしまいたいところだけど、赤い顔をごまかすように口をとがらせた。
汗や自分の出したモノでベトベトな状態では寝たくはなかったから、どちらにしてもさっぱりしたかったのだ。

 「よっと・・、う・・っ、痛ぇっ!」

ベッドに起きあがった途端、あらぬところがずきりと重く痛む。散々擦られた場所はひりひりするし、無理な体勢を強いられて運動に慣れたはずの体はぎしぎしだ。

「・・大丈夫?お風呂までだっこしてあげようか?」

心配げに小首を傾げる男を一発殴りたくなりながらも、我慢して立ち上がる。

「うぅ・・、へ、平気だっつーの」

これくらいで歩けないなんて格好悪すぎる。とりあえず痔になったら一発殴らせてもらおうと心に決めて、俺は一人浴室へと向かった。
・・はずだったが。

「あ・・っ」

二歩も歩かないうちに、俺はその場に立ち尽くしてしまう羽目になった。
脚の間をどろりと、温かな液体が伝い落ちてきたのだ。何か漏らしでもしたのかと一瞬青くなったけれど、それが何なのか思い当たって、かーっと顔に血が上る。

「・・もしかして、”俺の”があふれて来ちゃった?」
「~~っっ!」

そうだ。もしかしなくともそうだ。久保ちゃんはナマでして、んで中で思い切り出しやがった。
あの時は頭が真っ白でそこまで気が回らなかった俺もバカだけどっ、信じられねぇ・・っ!

「あ、ほんとだ。・・・おもらしみたいだね、なんか、エロ・・」
「っ、・・だっ、誰のせいだと思ってっ」

よいしょと、人の下肢をのぞき込んでのほほんとそんなことを言いやがる男に暴力的な衝動を覚えたのは仕方がないはずだ。

「俺のせいだよね。そうか、うん。―――それじゃあさ、栓してあげようか?」

しかも久保ちゃんは悪びれた様子もなく訳の分からないことを言って、またもや俺の体を抱き上げてしまう。

「は?――ちょ、わわっ!」
「漏れないように、ずっと俺ので塞いでてあげようね?」
「な・・っ?」

ベッドにうつ伏せに転がされ、上からのしかかってきた久保ちゃんにそんなことを囁かれる。
その上ぬるりと濡れた場所に指を差し込まれて、俺は色気もなにもない悲鳴をあげた。

「ぎ、ぎゃ―ーっ!むっ無理っ!もう無理だってっ!!」
「大丈夫、二回目は俺も長いし?ほら、今ならお前のココもほぐれてるから、すぐ気持ちよくなれるよ」
「ひっ!やっやめっ・・へっ、変態―――っ!」
「変態って、お前ね・・」

変態、変態だ。久保ちゃんがこんなに色魔で変態で絶倫だったなんて。
これからずっと俺は(俺の体は)耐えられるのだろうかと、不安になった。
けれど。

「ひどいなぁ。俺はただ、お前が欲しいだけなんだけどね」

まじめな声でそんなことを告げられて、またじわりと胸の奥が熱くなった。

「久保ちゃ、」
「だから、ちょうだい?」
「あ・・・っ」


――――結局、なんだかうまく丸め込まれた気がする。
それでもまぁいいかなんて、楽観視している俺も相当だとは思うけれど。

その後、久保ちゃんの宣言通り長いこと揺さぶられ求められ、ドロドロのヘロヘロになった俺は、翌日初めて学校を休む羽目になったのだった。






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