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恋唄…【3】☆どっちと、寝る?
その夜、仕事の打ち合わせを終えた工藤はマネ―ジャ―だけを帰し、早速泊まることにした。
夕飯はマネ―ジャ―の差し入れの寿司。食欲旺盛な工藤と時任はがつがつと胃袋に流し込み、久保田の分まで平らげる。量に限りがあるとなればあとは時間競い。いつの間にか早食い競争になりつつ、二人は同時に食事を終えたのだった。
学園祭から続く二人の勝負は、ここでもまたドロ―。
さて、この二人、決着がつく日がくるのだろうか。
そうこうしているうちに夜は更けていく。
「―――んで?俺はどこで寝ればいい?」
ちゃっかり先に風呂をもらいご機嫌に工藤が尋ねると、久保田と時任が目を丸くした。
「ソファだろ」
「毛布なら置いてるから」
「――はぁっ!?」
無情なほど淡々とした二人の返事に、工藤は眉を跳ね上げ吠える。
「アイドルがなんでソファで寝なきゃなんね―んだよっ!フカフカのベッドじゃねぇと寝れねぇっつ―の!」
「はぁ!?仕方ねぇだろ、うちにはシングルベッド1つしかねぇんだから!イヤならベランダで寝ろ!」
「なんだと―っ!?」
相変わらずのワガママ野郎だと時任が突っかかれば、工藤も負けじと声を荒げる。相変わらずの似たもの同士ぶりに、割って入るのはやはり久保田だった。
「う―ん、でも本当に寝る場所ないからなぁ。布団も無いし・・。どうしてもベッドで寝るなら、俺らのどっちかと一緒になるけどいい?」
のんびりとした口調に険を削がれるも、その内容には工藤は驚くしかない。
「なっ!イ、イヤだ!なんで男と一緒に寝なきゃなんねぇんだ!!・・・・っつ―かお前等一緒に寝るつもりだったのかよ?」
「しょうがねぇだろ」
「まぁ、いつもならソファと交代だけど、仕方ないよね」
(シングルベッドに、男が二人で・・?・・・ありえねぇ・・・)
突然押し掛けてきた自分が根源であることは棚にあげて、工藤はぐっと眉を寄せた。
しかし、ここはやはり二人のいう通り、どちらかを選ぶしかない。
「んでどうする?――俺と時任、どっちと寝る?」
「う・・・」
「俺はデカイから狭いし、時任は寝相悪いから寝苦しいと思うけど?」
無表情に問う久保田の瞳が、怪しく光った気がしたのは気のせいだろうか。
いや、気のせいに違いない。
そう思案しつつ、しばらく二人の顔を逡巡して、工藤が出した答えは。
「・・・ソファでいい」
至極当然ともいえるだろう。
「了解~、じゃあおやすみ」
「じゃあな」
「・・・・おやすみ」
諦めたようにソファに寝ころび毛布をかぶった工藤だが。
(寝心地悪っ・・・)
堅いソファは狭く、薄い毛布では少し寒い。
しかし、大の男が二人でシングルベッドに寝るよりは幾分かマシだろう。そう考えてフンと鼻を鳴らす。
(・・・・・・・・)
工藤は不意に、上半身を起こした。
二人で消えていった寝室のドアを見やると、ぽつりと呟く。
「・・あいつら、マジで一緒に寝てんのか・・」
複雑に歪めた顔は誰に見られることもなく―――。
工藤は再び背を向けて、今度こそ深い眠りについたのだった。
(^_^;)
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