『久保ちゃん』
お前が俺の名を呼んで、俺に笑いかける。
その声が、その顔が、いつでも俺のなかにあった。
それは片時も頭から離れずに、一番大切な場所で、ずっと存在している。
ーーー俺は白い世界にいた。
そこは、ぽかぽかと暖かくて、眠たくて。
ここにお前がいたらどんなに幸せだろうかと、
目を閉じていると、当たり前のようにお前が浮かぶ。
ねぇ、時任。
「あのころは・・・」なんて、昔を恋しがるなんてね。
俺らしくもないね。
だっていつだって、俺はお前といたからさ。
高校に入る前も、卒業した後も、出会ってからずっと。
ガッコは楽しかったのは確かだけど。
お前との思い出はたくさんあるから。
・・そういえば、何度か喧嘩したこともあったっけ。
おまえが出ていくって言った時は、俺もかなり焦ってたっけね。
思わず落としたタバコの火が、床を焼くのも気づかずに、おまえの体を抱きしめてた。
溢れてくる想いを言葉にして、お前をこの腕に閉じこめた。
お前はかなり戸惑っていたけれど、それでも、受け止めてくれたね。
ああ、お前のことばかり考えてると、今、
お前に会いたくてたまらない。
ねぇ、時任。
ずっと一緒にいるって言ったのにね。
昔の約束にすがるわけじゃないけど・・。
−−お前は今、どこにいる?
会いたくて、たまらない。
この白い世界は、春のひだまりのように暖かいけれど、
お前がいないだけで、俺のカラダは、こんなにも冷たい。
ーーーさぁて、そろそろお前を探すために、目を覚まそうか。